英語で「貸す」「借りる」を意味する「lend」「borrow」「rent」「lease」の違いについて解説します。
人からモノを借りるとき、日本語では「貸して」と相手にお願いしますが、英語では「借りていい?」と相手に許可を求める表現をします。
ここでは、ネイティブが実際に使っている「借りる」「貸す」の英語表現をご紹介します。
また、英語で「貸してください」の表現を、丁寧さ順にご紹介します。
英語で「(無料で)借りる」ときは「borrow」
お金を払わずに無料で「借りる」ときに英語の他動詞「borrow」(バロウ)(※太字のところにアクセントがきます)を使います。
ニュアンスとしては、本や傘など、使ったあとにすぐに返すつもりで友達などからお金を払わずに借りるときに「borrow」を使います。
英語で「(無料で)貸す」ときは「lend」
お金をもらわずに無料で「貸す」ときに英語の他動詞「lend」(レンド)を使います。
ただ、「lend」を日常会話で使うことはあまりありません。
「borrow」と「lend」の使い方
たとえば、ペンを忘れて友達から借りるとき、
【日本語】では、「貸す」という動詞を使って、
ペンを「貸してください」
(Can you lend me your pen?)
と相手にお願いする表現をしますが、
【英語】では、「貸す」という動詞は使わずに、「borrow」を使って、
ペンを「借りてもいいですか」
(Can I borrow your pen?)
と相手に許可を求める表現をするのが普通です。
また、友達がペンを忘れて貸してあげるときは、
【日本語】では、「貸す」という動詞を使って
ペンを「貸してあげる」
(I can lend you my pen.)
とお願いされる前に「どうぞ使ってください」という意味をこめた相手を立てる表現をしますが、
【英語】では、「貸す」という動詞は使わずに、「使う」という意味の動詞「use」(ユーズ)を使って、
ペンを「使ってもいいよ」
(You can use my pen.)
と相手に許可を与える表現を使うのが普通です。
というわけで、「lend」を使う場面はとても限られています。
青色でハイライトした表現は、英語として通じなくはないですが、どちらかというと、直訳調で、ネイティブは普通使わない英語表現になります。
詳しくは、「モノやお金を借りたいとき、英語で「貸して」とは言わない?!」のところで解説しています。
英語で「(有料で)貸す、借りる」ときは「rent」
お金を支払って「借り」たり、お金をもらって「貸す」ときには、英語の他動詞「rent」(レント)を使います。
「rent」には、「貸す」という意味も、「借りる」という意味もあるので、どちらの意味でも使えます。
レンタカーをイメージすると分かりやすいですが、有料で一定期間借りたり、貸したりするときに「rent」を使います。
英語で「(有料で長期間)貸す」ときは「lease」
お金をもらって長期間「貸す」ときには、英語の他動詞「lease」(リース)を使います。「lease」を使うときは、きちんと契約をして長期間貸すときです。
カーリースをイメージすると分かりやすいと思います。
レンタカーとの違いは、レンタカーは、旅行などに行くために数週間、単発で車を借りることですが、カーリースは、会社などが年間契約で車を借りることをいいます。
そのため、年間契約が前提のアパートやテナントなどの賃貸借契約は「lease agreement」(リース アグリーメント)といいます。
モノやお金を借りたいとき、英語で「貸して」とは言わない?!
日本の中学校や高校では教えてくれないので、これも意外と知られていませんが、英語では、誰かのものを使いたいときに、「貸して」とはいいません。「借りてもいいですか?」という聞き方をするのが一般的です。
これは、おそらく、日本語の場合は、相手を敬う謙譲語があるので、相手を主語にして「貸していただけますか」という丁寧な聞き方ができるからです。
一方、英語の場合は、相手を敬う謙譲語の表現がないので、相手(You)を主語にせずに、相手に「借りてもいいですか」とお伺いをたてて許可を求める聞き方が丁寧な表現になるためかと思います。
「貸す」という意味の「lend」(レンド)も、「借りる」という意味の「borrow」(バロウ)も、どちらも他動詞(※目的語をとる動詞)なので、貸してもらいたいものや借りたいものを、「lend」や「borrow」のすぐうしろにもってきます。
実際の使い方を例文を使って解説しますね。
「ペンを貸して」を英語で
先ほども簡単にご紹介しましたが、「ペンを貸して」と英語でいうときは、相手(You)を主語にして「貸す」と言う意味の他動詞「lend」は使った聞き方はしません。
自分(I)を主語にして「借りる」と言う意味の他動詞「borrow」を使って、「~してもいいですか」という相手に許可を求める聞き方をします。
例文✖ Can you lend me your pen?
キャン ユー レンド ミー ユア ペン
あなたのペンを貸してくれませんか。
例文〇 Can I borrow your pen?
キャ ナイ バロウ ユア ペン
あなたのペンを借りてもいいですか。
「Can you lend me your pen?」でも、もちろん通じますが、ペンを借りるときに、ネイティブは実際には使わない直訳的な表現です。
「借りてもいい?」と聞くときに「borrow」を使わない?!
英語で「~を貸してください」とお願いするときは、借りるものによって使う「動詞」が変わります。
日本の中学校や高校では教えてくれませんが、実は、「借りる」という意味の他動詞「borrow」を使うのは、借りたいものが「その場所から持ち運びできるもの」の場合だけなんです。
「その場所から持ち運びできるもの」とは、たとえば、本、ペン、ドライヤー、お金などです。
反対に、「その場所から持ち運びできないもの」の代表例は、「トイレ」です。
一昔前までは、「固定電話」も「その場所から持ち運びできないもの」の代表例でした。最近では固定電話もあまり見かけなくなりましたよね。うちにも、固定電話はもうありません笑
「その場所から持ち運びできない」トイレを借りる場合に使う動詞は、「使う」という意味でおなじみの他動詞「use」(ユーズ)です。
「トイレを借りてもいいですか」と聞くときには、「borrow」は使わずに、「use」を使います。
例文✖ Can I borrow the bathroom?
キャ ナイ バロウ ザ バスルーム
例文〇 Can I use the bathroom?
キャ ナイ ユーズ ザ バスルーム
借りるときは全部「borrow」でいいじゃん!って思うのは私だけでしょうか。。。笑
つまり、「借りる」という意味の「borrow」は、日本語の「借りる」よりも、使える範囲が狭いんですね~。
ちなみに、ホテルなどで、電話を借りたいときは「use」を使います。
例文
Could I use your phone?
クッド アイ ユーズ ユア フォーン
お電話お借りできますか。
「使う」という意味の他動詞「use」を使って、「借りてもいいですか?」という意味で、「使ってもいいですか?」という聞き方があるというのは覚えておいてくださいね。
「借りてもいいですか」を英語で丁寧さ別に表現
「~を借りてもいいですか」と英語で聞くときのカジュアルな聞き方から、丁寧な聞き方までを丁寧さ別にご紹介します。
「~してもいいですか」の丁寧な英語表現については、こちらで詳しくご紹介していますので、まだお読みになっていない場合は、ぜひお読みくださいね。
本を「借りてもいいですか」を英語で 【丁寧さ「低」】
Can I borrow~?
(キャ ナイ バロウ)
「can」(キャン)は、「~できる、~する能力がある」という可能性を表す意味の助動詞です。助動詞のうしろにくる動詞は、原形です。
「Can I~?」は、直訳すると、「私は(I)」「~することができますか(can~)」と言う意味になります。「してもいいですか」という意味で、相手に許可を求めるときによく使われます。
残念ながら、丁寧さはありません。ごく親しい友達や、家族の間で使う表現になります。
例文
Can I borrow your book?
キャ ナイ バロウ ユア ブック
君の本借りてもいい?
トイレを「借りてもいいですか」を英語で【丁寧さ「低」】
例文
Can I use the bathroom?
キャ ナイ ユーズ ザ バスルーム
トイレを借りてもいい?
お金を「お借りできますか」を英語で 【丁寧さ「中」】
May I borrow~?
(メイ アイ バロウ)
Could I borrow~?
(クッド アイ バロウ)
「may」(メイ)は、「~してもよい、~しても差し支えない」という意味の許可を表す助動詞です。助動詞のうしろにくる動詞は、原形です。
「May I~?」は、直訳すると、「私が(I)」「~しても差し支えないですか(may~)」と言う意味になります。「してもいいですか」という意味で、相手の許可を求めるときに使われる表現になります。
「could」(クッド)は、「~できる、~する能力がある」という可能性を表す意味の助動詞「can」の過去形です。過去形を使うことで、「Can I~?」よりも丁寧な表現になります。
例文
May I borrow some money?
メイ アイ バロウ サム マニー
お金をいくらかお借りできますか。
Could I borrow twenty dollars?
クッド アイ バロウ トゥウェンティ ダラーズ
20ドルお借りできますか。
トイレを「借りてもいいですか」を英語で【丁寧さ(中)】
例文
Could I use the restroom?
クッド アイ ユーズ ザ レストルーム
トイレをお借りできますか。
英語で「トイレ」というときは、「restroom」のほうが丁寧になります。「bathroom」はどちらかというと個人宅のトイレのときに使います。
「お借りできる変圧器はありますか」を英語で【ホテルでおすすめ表現】
Do you have ~ that I could borrow?
(ドゥ ユー ハブ ~ ザット アイ クッド バロウ)
丁寧さ「中~高」
「Do you have~?」は、直訳すると、「あなたは(Do you)」「~を持っていますか(have ~)」という意味です。
「that」は関係代名詞です。「that」の直前の名詞を言い換えたものです。ちなみに、この関係代名詞は関係詞節の目的語になっているので、省略することもできます。
関係代名詞ってなんだっけ??という方のために、簡単に関係代名詞についておさらいしておきますね。(関係代名詞は全然わかる!という方は、読み飛ばしてください笑)
例文
Do you have the power transformer that I could borrow?
ドゥ ユー ハブ ザ パワー トランスフォーマー ザット アイ クッド ユーズ
お借りできる変圧器はありますか。
===★関係代名詞の解説★==================
関係代名詞のはたらきは、2つの文章の中で「共通する名詞」を関係代名詞に置き換えることで、2つの別々の文章を一文にすることができるというものです。
「お借りできる変圧器はありますか」という上の例文で解説しますね。
上の例文の関係代名詞「that」は、直前の名詞「the power transformer」のことです。
「the power transformer」を関係代名詞に置き換えて一文になっている上の例文を、関係代名詞を使わない、2つの文章に分解するとこのようになります。
Do | you | have | the power transformer? | |
品詞 | 助動詞 | 代名詞 | 動詞 | 名詞 |
構文 | (動詞) | 主語 | 動詞 | 目的語 |
直訳 | あなたは | 変圧器を | 持っていますか。 |
I | could borrow | the power transformer. | |
品詞 | 代名詞 | 助動詞+動詞 | 名詞 |
構文 | 主語 | 動詞 | 目的語 |
直訳 | 私は | 変圧器を | 借りることができます。 |
関係代名詞「that」を使ったときに、関係代名詞「that」のうしろにきている「I could borrow the power transformer」の文章の中で、関係代名詞に置き換えられている「the power transformer」は、この文章のなかで「目的語」になります。
2つの別々の文章にしたときに、関係代名詞のうしろにくる文章において、関係代名詞に置き換えられる名詞(上の例文だと「the power transformer」)が「目的語」の場合は、関係代名詞を省略できることになっています。
例文
Do you have the power transformer I could borrow?
ドゥ ユー ハブ ザ パワー トランスフォーマー アイ クッド ユーズ
お借りできる変圧器はありますか。
====================================
「お借りできるトイレはありますか」を英語で
ちなみに、「お借りできる「トイレ」はありますか。」の場合には、「Do you have~?」ではなく、「~がある」という表現の「There is~」を使います。
例文
Is there any restroom I could use around here?
イズ ゼア エニー レストルーム アイ クッド ユーズ アラウンド ヒア
この辺にお借りできるトイレはありますか。
「ライター(火)をお借りしてもかまいませんか」 【丁寧さ「高」】
Would you mind if I borrow~?
(ウッジュ― マインド イフ アイ バロウ)
「mind」(マインド)は、「~を嫌だと思う、~が気に障る」という意味の他動詞です。「if」のうしろには文章(「主語」+「動詞」)がきます。
本来は、動詞「mind」を使った疑問文なので、助動詞「do」を使った「Do you mind if I~?」がもとの文章になります。
疑問文のときに使う助動詞「do」を、「do」よりも丁寧な意味の助動詞「will」に変えて、さらに、「will」を過去形「would」にした表現になります。
「Would you mind if I~?」は、直訳すると、「私が~したら(if I ~)」「あなたは(you)」「嫌ですか(would mind)」と言う意味になります。
例文
Would you mind if I borrow a lighter?
ウッ ジュ― マインド イフ アイ バロウ ア ライター
ライターをお借りしてもかまいませんか。
トイレを「借りてもいいですか」を英語で【丁寧さ(高)】
例文
Would you mind if I use the restroom?
ウッ ジュ― マインド イフ アイ ユーズ ザ レストルーム
トイレをお借りしてもかまいませんか。
「ドライヤーをお借りできますでしょうか」を英語で【ホテルでおすすめ】
I was wondering if I could borrow~?
(アイ ワズ ワンダリング イフ アイ クッド バロウ)
丁寧さ「高」
「wonder」(ワンダー)は、「~かどうかと思う」という意味の他動詞です。「wonder」を使ったお願いの表現は、催促をしたり、相手を誘ったりするときに、相手にとって煩わしくならないように、なるべく婉曲的な言い方をした表現になります。
「I was wondering if I could borrow~?」は、直訳すると、「私が(I)」「~をお借りでき(could borrow~)」「ないかどうかと(if)」「私は(I)」「思っている(was wondering)」という意味になります。
ホテルなど、見ず知らずの人に何かたずねるときは、私はたいてい「I was wondering if I could~」を使います。
例文
I was wondering if I could borrow a hair dryer.
アイ ワズ ワンダリング イフ アイ クッド バロウ ア ヘアー ドライヤー
ドライヤーをお借りできますでしょうか。
ホテルで「電話をお借りできますか」を英語で【丁寧さ(高)】
例文
I was wondering if I could use your phone.
アイ ワズ ワンダリング イフ アイ クッド ユーズ ユア フォーン
お電話をお借りできますでしょうか。
いかがでしたか?
覚えるポイントとしては、
- 英語では「貸して」ではなく、「借りてもいいか」という聞き方をする。
- 借りるものによって「borrow」と「use」を使い分ける。
- 日本語の「貸していただけますか」にあたる丁寧な聞き方がある。
というところかなと思います。
あなたも海外旅行にいったときには、ぜひ、使ってみてくださいね。
以上、少しでもご参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
今後、取り上げて欲しい表現等がありましたら、お問合せフォームからぜひお送りくださいね。