今回は、ビジネスメールですぐに使える、「依頼」や「お願い」の丁寧な英語表現と、丁寧な表現だと勘違いされている表現についてご紹介します。
英語のビジネスメールで失礼なお願いの仕方
失礼なお願いの仕方はこれ!
「Please~」
(~してください)
「I woul like you to~」
(してもらいたい)
「Would you please~?」
(してもらえますか)
英語で丁寧にお願いする言い方をご紹介する前に、日本人が英語の丁寧なお願いの仕方だと勘違いしている英語表現について、最初に解説しておきます。
「書類を来週の金曜日までにメールで送って!」とお願いするときの英語表現について一緒に考えてみましょう。
中学校や高校で習った英語をベースにすると、恐らく、次のような表現になると思います。
ビジネスメールで使えない英語のお願い 「Please~」 丁寧さ「低」
(プリーズ)(~してください)
(※太字のところにアクセントがきます)
中学英語をしっかり勉強したあなたなら、命令文ときいてピンときたかもしれませんが、相手になにかお願いしたいときに使う表現として、日本では学校の英語の授業で習うのが「命令文」です。
この命令文の表現を使って「書類を来週の金曜日までにメールで送って!」というと、こうなります。
例文
Please send us the document by email by next Friday.
プリーズ センド アス ザ ドキュメント バイ イーメイル バイ ネクスト フライデイ
来週の金曜日までに書類を送ってください。
「Please send us 」という表現は、「please」こそついていますが、「send」という動詞で始まる命令文です。
学校の先生が生徒に「宿題を提出しなさい!」と言っているのと同じ印象を相手に与えます。ニュアンスとしては相手に少し威圧感を与えるような表現になります。
とてもじゃないですが、取引先のクライアントや上司には使えない表現ですよね笑
ビジネスメールで使えない英語のお願い I would like you to~ 丁寧さ「低」
(アイ ウッド ライク ユー トゥ)
(~してもらいたい)
日本の中学校や高校では、「~(人)に~してほしい」ときに使う動詞「want」の丁寧な表現として「would like」を習っている人がほとんどだと思います。
「I would like you to」という表現は、「will」の丁寧形の「would」と「please」をダブルで使っているので、学校で習った英語をベースに考えると、最上級に丁寧な表現のように思えるかもしれません。
でも、残念ながら、実際には、「I want you to~」(~してもらいたい)とお願いしているよりも少し丁寧になったぐらいです。
この「I would like you to~」の表現を使って「書類を来週の金曜日までにメールで送って!」というと、こうなります。
例文
I would like you to send us the document by email by next Friday.
アイ ウッド ライク ユー トゥ センド アス ザ ドキュメント バイ イーメイル バイ ネクスト フライデイ
来週金曜日までに書類を送ってもらいたいと思います。
この言い方は、疑問形ではないので、相手に有無を言わさない、ちょっとキツメなお願いの仕方になります。
ビジネスメールで使えない英語のお願い Would you please~? 丁寧さ「中」
(ウッ ジュー プリーズ)
(~してくれますか)
「Would you please」という表現は、「I would like you to~」と同じく、「will」の丁寧形の「would」と「please」をダブルで使っているので、中学校や高校で習った英語をベースに考えると、最上級に丁寧な表現のように思えるかもしれません。
でも、実際は、先に紹介した「Please~」よりも、少し丁寧になった程度です。
この「Would you please~?」の表現を使って「書類を来週の金曜日までにメールで送って!」というと、こうなります。
例文
Would you please send us the document by email by next Friday?
ウッ ジュ― プリーズ センド アス ザ ドキュメント バイ イーメイル バイ ネクスト フライデイ
来週金曜日までに書類を送ってくれますか。
社内連絡や上司にならこの表現は使えるかもしれませんが、これもちょっと、取引先のクライアントに使うのはギリギリな感じです。
いかがですか?
これまで中学校や高校で丁寧な英語表現として習ってきた英語が、実は、それほど丁寧な言い方ではなかったことがお分かりかと思います。
ただ、これら3つの表現は、ビジネスの場面ではあまりふさわしくありませんが、実際、学生であれば、上の3つの表現でも十分丁寧になります。
私も外資系の事務所でネイティブと仕事をするようになるまでは、上の3つの表現が最上級に丁寧な表現だと思っていました。
当時は最上級に丁寧な表現だと思っていた「I would like you to~」や「Would you please~?」をちりばめて、英語で依頼のビジネスメールを書いてネイティブの上司に見せたところ、「なんでそんな冷たい書き方をするんだ?!?」と言われて、訳がわからなかったのを今でもとてもよく覚えています笑
ビジネスとなると、上の3つの表現は、丁寧どころか、むしろ、社内の経理や人事等、他の部署の担当者から書類の提出を求められるときに使うような表現で、ネイティブの感覚からすると、かなりつっけんどんなお願いの仕方になります。
このどれも、とてもカジュアルなお願いの表現なので、くれぐれも、会社の取引先やクライアントに対して使うのはあまり好ましくありません。
ちなみに、「~して欲しい」という意味の「want」を使ったお願いの仕方は、子供が何かしてもらいたいときに使うお子さま表現になりますので、お願いをするときには使いません。
英語のビジネスメールでも使える丁寧な依頼やお願いの仕方は?
英語は日本語と違って敬語はありませんが、敬語に匹敵する丁寧な言い方が実はたくさんあります。
色々ある丁寧なお願いや依頼の英語表現の中から、厳選して、実際によくビジネスメールで使われている言い方をご紹介します。
全部覚える必要はありませんので、お好みの丁寧なお願いの英語表現を2~3個覚えておいて使いまわせるといいと思います。
先ほどと同じように、書類を来週の金曜日までにメールで送ってほしいときの丁寧な英語の言い方には、次のような表現があります。
丁寧さを目安としてご参考までに記載しておきます。
「~していただけますと幸いです」を英語で① 丁寧さ「高」
I would appreciate it if you could~
(アイ ウッド アプリーシエイトゥ イット イフ ユー クッド)
「appreciate」(アプリーシエイトゥ)は、「感謝する」という意味の他動詞です。忘れがちですが、他動詞なので目的語の「it」が後ろに続きます。
「would appreciate it」で、「if」以下のことをしていただけると「幸いです」という意味になります。
「if」以下のことはまだしてもらっていないので、「してもらえたら」という仮定法が使われているので、助動詞が「can」の過去形の「could」になっていて、「appreciate」の前に「would」がついています。
例文
We would appreciate it if you could send us the document by email by next Friday.
ウィー ウッド アプリーシエイトゥ イット イフ ユー クッド センド アス ザ ドキュメント バイ イーメイル バイ ネクスト フライデイ
書類をメールで来週金曜日までに送っていただけますと幸いです。
あなたが個人的にお願いする場合には、「I would appreciate it」になりますが、会社としてお願いする場合には、上の例文のように、主語を「We」(当社、弊社)に変えて、「We would appreciate it」とします。
「~していただけますと幸いです」を英語で② 丁寧さ「高」
I would be grateful if you could~
(アイ ウッド ビー グレイトフル イフ ユー クッド)
「grateful」(グレイトフル)は、「appreciate」と同じく「感謝する」という意味の形容詞です。形容詞なので、前に「be動詞」がついています。
「appreicate it」と同じく、「if」以下のことはまだしてもらっていないので、「してもらえたら」という仮定法が使われているので、助動詞が「can」の過去形の「could」になっていて、「be grateful」の前に「would」がついています。
例文
We would be grateful if you could send us the document by email by next Friday.
ウィー ウッド ビー グレイトフル イフ ユー クッド センド アス ザ ドキュメント バイ イーメイル バイ ネクスト フライデイ
書類をメールで来週金曜日までに送っていただけますと幸いです。
個人的には、仕事で丁寧なお願いのメールをする必要があるときは、「~していただけますと幸いです」にあたる「would appreciate it if~」や「would be grateful if~」を使うことがとても多いです。
「~していただけますでしょうか」を英語で 丁寧さ「中~高」
I am wondering if you could~
(アイ アム ワンダリング イフ ユー クッド)
「wonder」(ワンダー)は、「~かどうかと思う」という意味の他動詞です。「wonder」を使ったお願いの表現は、催促をしたり、相手を誘ったりするときに、相手にとって煩わしくならないように、なるべく婉曲的な言い方をした表現になります。
例文
We were wondering if you could send us the document by email by next Friday.
ウィー ワー ワンダリング イフ ユー クッド センド アス ザ ドキュメント バイ イーメイル バイ ネクスト フライデイ
書類をメールで来週金曜日までに送っていただけますでしょうか。
会社としての依頼になる場合は、上の例文のように、主語が「We」(当社、弊社)になります。
be 動詞が「were」と過去形になっているのは、仮定法を使って、より丁寧な表現にするためです。
be動詞を過去形にした方が、現在形よりも、少しだけ婉曲的になります。
「~していただけますでしょうか」の例文 丁寧さ「中」
例文
I am wondering if you could translate it by next Monday.
アイ アム ワンダリング イフ ユー クッド トランスレイト イット バイ ネクスト マンデイ
来週の月曜日までにそれを翻訳していただけますか。
「~していただけますでしょうか」の例文 丁寧さ「高」
例文
I was wondering if you could translate if by next Monday.
アイ ワズ ワンダリング イフ ユー クッド トランスレイト イット バイ ネクスト マンデイ
来週の月曜日までにそれを翻訳していただけますでしょうか。
「~していただけたりしますでしょうか」を英語で 丁寧さ「高」
Could you possibly~?
(クッ ジュ― パシブリー)
「possibly」(パシブリー)は、「もしかすると、ひょっとしたら」という意味の副詞になります。
「possibly」を入れることで、やんわりと「もしかしたら~していただけたりしますか」というニュアンスの婉曲的な表現になります。
例文
Could you possibly send us the document by email by next Friday?
クッ ジュ― パシブリー センド アス ザ ドキュメント バイ イーメイル バイ ネクスト フライデイ
書類をメールで来週金曜日までに送っていただけたりしますでしょうか。
「~していただくことは可能でしょうか」を英語で 丁寧さ「高」
Would it be possible to~
(ウッド イット ビー パッセボー トゥ)
「possible」(パッセボー)は「可能性がある」という意味の形容詞で、「be動詞」と使うことで「~できる、~することができる」という意味になります。
使い方は、「possible」の後ろに不定詞(to+動詞の原形)がきます。
これも、とてもよくネイティブに使われる表現の一つです。
例文
Would it be possible to send us the document by email by next Friday?
ウッド イット ビー パッセボー トゥ センド アス ザ ドキュメント バイ イーメイル バイ ネクスト フライデイ
書類をメールで来週金曜日までに送っていただくことは可能でしょうか。
「お手数ですが、~していただけますでしょうか。」を英語で 丁寧さ「高」
May I trouble you to~/Might I trouble you to~
(メイ アイ トゥラブル ユー トゥ)(マイト アイ トゥラブル ユー トゥ)
「trouble」(トゥラブル)は「(人)に面倒をかける」という意味の他動詞です。目的語(人)の後ろの動詞は不定詞になって、「あなたに(you)」「ご面倒をおかけしますが(may we trouble)」「~していただけますか(to~以下)」という意味になります。
「to~」の後ろには、動詞の原形がきます。
助動詞が現在形の「May I trouble you」よりも、助動詞が過去形の「Might I trouble you」のほうが、より丁寧な表現になるのは、ほかの英語の依頼するときの表現と同じです。
こちらもネイティブがよく使うとても丁寧なお願いの表現です。相手への配慮がよく表現できているなぁと思う、英語でお願いするときの好きな表現のひとつです。
例文
May we trouble you to send us the document by email by next Friday?
メイ ウィートゥラブル ユー トゥ センド アス ザ ドキュメント バイ イーメイル バイ ネクスト フライデイ
お手数ですが、書類をメールで来週金曜日までに送っていただけますでしょうか。
「~していただけませんか」を英語で 丁寧さ「高」
Would you be so kind (as/enough) to~
(ウッ ジュ― ビー ソー カインド (アズ / イナフ)トゥ)
「kind」(カインド)は「親切な」という意味の形容詞です。
「Would you be so kind to~」は、直訳すると、「~していただけるほど親切になっていただけませんか」となります。少し回りくどいように思いますが、これで、「~していただけませんか」という意味でよく使われます。
「to」の前に、前置詞の「as」や副詞の「enough」を入れる場合もあります。
「to~」の後ろには、動詞の原形がきます。
例文
Would you be so kind to send us the document by email by next Friday?
書類をメールで来週金曜日までに送っていただけませんか。
これらは、実際に、ネイティブにもよく使われているほぼすべての表現になると思います。
お願いするときの便利な魔法の言葉「possible」
「可能であれば」を英語で 丁寧さ「中~高」
, if possible
(イフ パッセボー)
これまで紹介してきた表現は、相手にしてもらいたいときの丁寧なお願いの表現になりますが、自分がしたいときに相手にお伺いを立てるときの丁寧な言い方は、文末に「if possible?」をつけます。
例文
Could I come to your office this afternoon, if possible?
クッド アイ カム トゥ ユア オフィス ジス アフタヌーン イフ パッセボー
可能であれば、今日の午後オフィスに伺いたいのですが。
I would like to come to your office this afternoon, if possible.
アイ ウッド ライク トゥ カム トゥ ユア オフィス ジス アフタヌーン イフ パッセボー
可能であれば、今日の午後オフィスに伺いたいのですが。
最初にご説明しましたが、「Could I…?」や「I would like to….」だけだと、さもすでに決定したことのように「今日の午後オフィスに伺います」といったつっけんどんな印象を相手に与える可能性があります。
「if possible」を末尾につけることで、「可能であれば」という婉曲的なニュアンスになります。
「possible」や「possibly」は、丁寧なお願いを英語でするときに、ストレートな表現を婉曲的な表現に変えてくれるとても便利な魔法のような言葉です。
いかがでしたか?
敬語がないと言われる英語にも、かなり色々な丁寧な表現があることがお分かりになったと思います。
ここでご紹介した表現は、実際に、私が英語のビジネスメールでよく使っている表現になります。
仕事で英語を使うようになったばかりのころは、「would like」や「please」を駆使して、自分では最上級に丁寧なメールを書いているつもりでしたが、ネイティブからは、「なんでそんなつっけんどんなメールを書くんだ?」と、怪訝な顔をよくされていました笑
みなさんは、こちらでご紹介した表現をぜひお使いになってみてくださいね。
英語で依頼のメールを書くときには、丁寧なお願いの仕方を意識してみると、お願いもすんなり聞いてもらえるかもしれませんね。
以上、少しでもご参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
今後、取り上げて欲しい表現等がありましたら、お問合せフォームからぜひお送りくださいね。